2011年03月号 NUMBER 3 MYSTERY #20
<今月の3つの数字>
「27億ドル」「120コマ」「13万台」
今回の3つの数字からテーマを連想するのは、ちょっと難しいかもしれません。なので、ネタばらしから始めましょう。今回のテーマは「3D」です。「3D」といえば、映画、テレビ、携帯電話、ゲーム機と、次々に実用化された製品が世に出てきている、今流行のキーワードです。
史上最高の収入を上げた3D映画
日経MJによる2010年ヒット商品番付の「西の大関」に入った「3D」。ブームに火がついたのは、2009年12月から公開が始まった映画「アバター」でした。全世界での興行収入は27億ドル。監督のジェームズ・キャメロン自身が「タイタニック」で打ち立てた興行収入の世界記録を、18億ドルをあっさりと塗り替えた世紀の大ヒット作です。この映画のキモは何と言っても専用メガネをかけて楽しむ迫力の立体映像。映画という娯楽は3D技術を取り入れることによって、全く新しいレベルに到達しました。
「アバター」の成功に続けとばかりに、ハリウッド映画だけではなく、邦画でも3D作品が次々に制作されています。また、3D対応のテレビとプレイヤーが発売され、大きな話題となりました。デジタル放送も3D対応の番組放送が始まり、いよいよ3Dを家庭で手軽に楽しめる時代がやってきたのです。テレビの中から映像が飛び出してくる技術は、SF小説やマンガなどの世界に登場する未来の話だと考えられてきましたが、今や家電量販店ですぐに体験できるのですから驚きです。
画像の高速切替テクノロジーが3Dを実現
テレビや映画で、映像を立体的に見せるには、右目用と左目用に用意された別の画像を、それぞれの目にだけ見せるテクノロジーが必要です。2010年はこのテクノロジーが、一気に普及し始めた年となりました。いわゆる「3Dテレビ」に呼ばれる製品のほとんどが採用しているのは、「フレームシーケンシャル方式」と呼ばれる技術です。これは、画面に右目用と左目用の画像を交互に映し出す、というものです。この画面を3Dテレビ専用のメガネをかけてみると、右目用の画像が映し出されているときには左目の前にシャッターがおりて視界が遮られ、逆に、左目用の画像が映し出されているときには右目の前にシャッターがおりて、それぞれの目に専用の画像を見せます。
説明するとなんとも原始的な仕組みですが、これを1秒間に右目用60コマ、左目用60コマの合計120コマという高速で見ると、画面が3Dになるのです。逆から捉えれば、高速に画像を切替えられる液晶パネルと、画像を処理するエンジンが開発されたことによって、家庭用の3Dテレビが登場した、というわけです。
未来の扉を開くのは携帯3Dデバイス?
しかし、家庭用3Dテレビには弱点がいくつかあります。まず、テレビ画面に対して正面を向いていなければ立体的に見えない、という点です。当然、ごろ寝をして3Dテレビを見ても立体的には見えませんし、長時間3Dメガネをかけるのはかなり苦痛です。そして、もう1つの問題は3Dソフトの不足です。現在は映画を中心にした一部ソフトが対応しているだけで、充実しているとは言いがたい状態です。本格的に発売が開始された2010年4月から9月の半年間で売れたパソコンを含む3Dテレビは、およそ13万台。かなり苦戦していると言えるでしょう。
一方で、3Dメガネをかけずに立体映像を楽しめる「裸眼3D」が流行の兆しを見せています。すでに一部の携帯電話に導入され、立体映像でゲームを楽しめる携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」は、2011年2月に発売予定です。人気のゲーム機ならば、続々と3D対応ゲームが登場するでしょうから、ソフト不足の心配はありません。3D映像が当たり前という時代の扉は、気軽に楽しめる携帯デバイスたちが開くことになりそうです。
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